大人の上質な車の扱い方 セオリー50

国際競争力を生み出す活力の源

国内経済は自動車産業が果たす役割が非常に大きくなっ ているため、 日本の基幹産業としての自動車産業の復活は朗報といえる。 電機産業が国際競争力を喪失し始めており、 自動車産業が担う役割と責任はますます増大している。 事実、自動車産業は広大な裾野産業と雇用を抱える。 国内就業人口の9%弱の550万人を雇用し、 日本の貿易黒字のおよそ半分を稼ぎ出しているのだ。 日本の将来が、 自動車産業にかかっていることは自明であろう。同時に、 クルマはその技術と価値を大きく進化させるステージに差しかかっている。 環境対応や安全規制、 情報通信基盤との融合などクルマの縄ロ向付加価値化は` 従来の自勤車産業のピラミツドに留まらず、 様々な業界を横断し、 社会インフラ形成も含めた幅広い新技術や産業への相乗効果を生み出すことが予想されている。 これらがもたらすイノベーシヨンは、 半導体、 情報通信、 電子部品、 電池、 水素、 炭素謹、 化学素材などの広範な産業の活性化につながると考えられる。 自動車産業は、 日本の産業構造が国際競争力を生み出す活力の源でもある。日本という国家は、 資源に乏しく、 エネルギー保障に構造的な脆弱性を抱える。 資源を輸入し、 加工貿易で外貨を獲得することは宿命といえる。 構此旧問題である少子高齢化、 過疎化に対する重要な対策としても、 新たなモビリテイや交通システムの進化ヘ自動車産業が果たす役割は非常に大き い。 自動車産業が向かっ ていく方向性は日本の成り立ちに大きな影響を及ぼすのである。

自動車産業の戦いは国家間競争へ

自動車産業の戦いは、 企業間競争を超え、 国家閻競争の枠組みがより鮮明となっ ていることを認識したい。 どの国家も、 自国の雇用を支えて将来の国際競争力の源となる技術ゃ工業を牽引する、 自動車という基幹産業を放棄するわけにはぃかなぃのである。したが つ て、 2。00年代初頭に自動車産業に蔓延した、 ゃゃ行き過ぎた国境ナと越えた合従連衡への熱は冷めている。国家戦略を支える代表的な自動車会社同士が、 国境〟ナと越えて資本提携に踏み込むことは従来以上に難しいのである。誤解しな いでほしいのは、 国際的な合従運衡を進め、 要素技術の補完ゃ規模の経済性を獲得し、 国際競争力を構築するという基本的な流れが変わつているわけではないことだ。 むしろ、 今後もその目的で国境一ナと越えた事業提携は拡大するはずだ。 こうい った提携は穏やかな資本関係で構築することが可能である。 また、 国家戦略に重大な影響を及ぼさない二番手メーカーが、 国際的な合併劇に飲み込まれていくことは変ゎらない。2008年のリーマンシヨツクはーっの契機であつた。 この経済危機の中で、 米国のゼネラル ・ モーターズ (GM)は経営破綻し、 各国の主要自動車メーカーも経営危機に陥つた。 この危機に際し、 国民の血税を投入してでも、 各国政府は自国の自動車産業を防衛し` スクラ ツプ ・ インセンティブという買い換え促進策に巨額の資金を投入したのだ。 米国政府は自国の自動車産業を救うため深く関与し、 再建を果たすまで手厚く保謹峡汁と加えた。国家戦略を支えうる自国を代表する世界的な自動車メーカーを育成する、 過去の欧州にあった大企業育成政策 (ナショナル ・ チャンピォン政策) が自動車産業には再び台頭していると考えてよ い。国家間競争の中で、 ひときわ国際競争力を増大させたのが欧州の自動車メーカーである。 欧州の自動車産業は` 世界的なクルマの設計の標準化やォープン化、 M&A (企業買収) を駆使し、 世界の自動車産業の最先端を行くリーデイング企業を生み出してきている。 世界の自動車の環境・ 安全の規制をリードし、 強力なメガ ・サプライヤーを育成し、 自動車産業のイノベーシヨ ンを先導する役割を果たし てきた。 この流れの中で、 独のフォルクスヮーゲン (vw)、 フランスのルノーなど` 2。20年までに世界のトップを争う競争力を持つ企業を育成している。米国は、 カリフォル二ア州のZEv規制 (販売台数の 一 定比率を、 排出ガスを 一 切出さない電気自動車や燃料電池車にしなけれぱならないと定める規制)` 企業平均燃費 (CAFE) 規制による規制を強めている。 自国で国際競争力の高ぃ情報通信 (ーT) 産業と自動車産業の融合を加速させ` 自動運転などの新しい技術でイニ シアテイブを取ろうとしている。